印刷物にスジをつける場合があります。スジをつける意味は折をスジ位置で折る、商品そのものにスジをつけ消費者に手で折ってもらう目安位置にするなどの意味があります。どちらにしても同じ意味合いで使われます。
目次
スジをつける意味
スジは紙の厚みを押しつぶして紙の強度を下げる役割があります。たいていはスジをつけて機械で折りやすくする、折り目で紙が割れることやむしられることを防止する際に使われます。デザイン上で使われることはあまり見かけませんが、無線綴じ(別ページで解説)などの背中の角を出すために使われることもあります。これは無線綴じの場合、角背にすることが目的ですので丸くなった背表紙にならないようにするためです。無線綴じの場合にはノドから1㎝くらいの位置に見開きスジを入れる場合もあります。これは本を開く際に本文と表紙を接着する横糊部分に引っ張られれて本が壊れてしまうことを防止するためです。何度も何度も開く本や表紙が厚い本によく用いられます。紙でできたインデックス付きフォルダーなどでイメージするとわかりやすいと思います。
手で折るようにスジが入っています。
普段何気なく使用しているインデックスフォルダーはまさに抜き加工の集結品です。まさにアイデアから生まれた傑作品です。
スジは抜きスジ仕様
切り込みは型抜き
インデックスは型抜き
スジの種類
スジと一言にいってもいくつかの種類があります。用途によって使いわけをすることができます。例えばインデックスフォルダーのような厚紙の場合には太めの刃を使用します。逆に機械で折るためにスジ跡が目立たないようにする場合には細めの刃を使います。
そして、スジは上刃と下刃で挟み込んでつけるため、オス側とメス側が出来ます。紙の向きを変えればどちらでもできますが、加工会社によってどちらでも使い分けできます。もちろん指定があればそのようにスジのオスメスを決定します。
こちらが上刃となり、オレンジ色の樹脂は抜いたあと紙を傷つけずに紙が刃からスムーズに離れるような役割をしています。
スジをつける方法
スジ付けにはいくつかの方法があります。
基本的な方法です。全判で多面付けでも一度に入れられるメリットもあり、折機で折る場合には折の精度を上げることができます。また、スジの強度や幅も調節できるため紙の厚みや商品の質感で調節できます。当ラボでは40種類の刃を所有しているため、選択幅が広く多くの印刷会社、製本会社さまから依頼を受けています。
多面付けのスジ 2つ折りのカード例
こちらの画像は全判に45面ついている印刷物から2つ折りするためのスジです。本来なら2つ折りにスジを入れることは稀ですが、この場合には両面PP貼で用紙が厚いため2つ折りがうまく折れないためにスジを入れています。スジ幅は狭くし、深めにスジを入れてカードがパカパカと開かないような工夫をしています。更に画像のように横に帯がかかっているような絵柄の場合の折はコンマ数㎜でも折曲がりが出ると帯の幅にばらつきがでてしまい、品質的にはNGです。
型抜き用スジ刃
こちらは加工業者ではいくらでもあることですが、折機では紙が通るローラー箇所にスジを入れることができます。折機で折る直前にスジを入れることもできるのです。
スジ入れ箇所
スジ付け専用のコンベアーで加工途中でスジを入れることもできます。
中綴じした後に2つ折り、3つ折りをする場合などで使用します。厚みが3㎜までと限定はされますが、折スジを冊子に直接入れることが出来ます。
スジ付け専用機 カスタマイズしやすいため大変便利な機械
スジ押し部分
事例
上記で事例は説明しましたが、スジ押し自体は加工会社にとって大変重要な役割をしています。企画やデザインに直接触れることは少ないですが加工会社にとっては縁の下の力持ちとして活躍する大変便利な手法です。
価格
厚紙、PP貼りなどで加工会社が会社判断で使用する場合が多いため、価格設定は手間賃として見積もりに乗せることが多いです。明らかに抜きスジを入れて加工依頼される場合には型代、抜き代として設定しています。
気になる価格
スジ押しの評価
データの作り方
データは印刷データからの指示があるとベストですが、抜きスジの場合はもとの設定がないことが多いため、加工会社でスジいれ箇所をしていして型をつくります。ですので、データがなくても特には問題ありません。