抜きの機械ではミシン目を入れることもできます。一言でミシンと言っても種類も豊富で様々な役割をするため、抜きの中でもミシンの知識は覚えていて損はないでしょう。
目次
ミシン目を入れる意味
ミシン目を入れる意味は当然切り取れるようにすることです。しかしながら印刷加工業界にはミシン目を他の意味合いで使用することもあります。
一般的にはこちらが主の意味となります。
一般的な切り取りミシン
カレンダーミシン
ミシンには切り取り方や強度にも差があります。そのため設計段階で加工指示出すことも必要です。
紙を直角方向に折る際に、紙の厚みにより空気の逃げ道がなくなり紙がシワになります。ミシン目を入れることで、その時の空気の逃げ道を作ってあげる役割をします。輪転折出しの場合でも枚葉印刷でも同じ役割をしています。
輪転折出しのエアー抜き
折機のエアー抜き刃
ミシン目を入れる方法
印刷機で入れるパーフォレーターという機械があります。
パーフォレーターぱーふぉれーたー / perforating unit刷り本に切取り用の線状の小さな穴をあける装置。活版印刷では印刷機の版面に穴あけ用の刃を組み付けて,印刷と同時に穴をあけることもあるが,ブランケットなどに傷がつき,色数も制限されることから,印刷とは別の専用のユニットを設けて穴をあける場合や,印刷直後にルーレットをもちいて穴をあける場合もある。 印刷用語集より
本文などを折りながらインラインで入れられるメリットがあります。ただし紙に対して直線方向にしか入ることができないため、L字ミシンなどを入れることはできません。また、折機のミシン目はローラーに画像のような刃を巻き付けて挟み込み仕組みとなっているため、ミシンの曲がりが出てたり刃の研磨状態によってはミシン目にバラツキがでるというデメリットがあります。またローラーの手入れが行き届いていないと強弱の差が出来てしまいミシン自体の安定した強度が保てなくなります。ミシン目がけば立つような現象も起こりやすいためデザインを重視するような案件には向いていません。
製本には無線綴じ・アジロ綴じ(詳しくは別ページで解説します)があります。書店などで販売されている実用書・コミックなどがそれにあたります。この製本方法は、本のノド側(つまりは背文字が入る背中側)にミシン目を入れて接着剤(ホットメルト)を浸透させて表紙と接着させます。その際に必要なミシン目はアジロ目と呼ばれエアー抜きと同じ方法で入れることが出来ます。厳密にはアジロ刃とミシン刃ではピッチの大きさで区別されていますが、作る工程、使用する機械が同じであるため製本工場の人間でさえ理解していないことが多いです。アジロ目に関しては切り取る役割でなく、接着する目的であるため見た目の問題はなくなります。そのため強度的な精度も要求されることはありません。
A全版で入れることが出来るため、多面付け等の際はミシン入れ作成コストを下げることができます。印刷会社・製本会社で請け負う作業はこのパターンが一番多く、ミシン型も数種類あるため紙にあったミシン目を加工側でセレクトできるため品質的にも安定しています。また、トムソン型の型代金も比較的安いため多く利用されることと予想できます。
型の土台に入れるミシン刃
ジャンピングミシンで入れる
切り取りハガキなどのT字型やL字型のミシンを入れる際に便利です。
事例
ミシン目は使い勝手によっては大変便利な加工です。例えば表紙や本文にクーポンを設置することではさみやカッターを使わず利用できるようにすることが出来るデザインや、切り抜いて情報が外に持ち出せるようなデザインは情報を幅広く使えることで本(冊子、チラシ)の役割を広げることが出来ます。
フラップ綴じ(別ページで紹介)などで利用することで、少し変わったDMなどを作成することもできます。
データの作り方
ミシンのデータは通常の印刷データにミシンを入れたい位置にミシン線・棒線を入れてレイヤーで外すことで大丈夫です。通常は抜き機でミシンを入れるのでミシン抜きデータとして添付してもらえればいいのです。
価格
ミシンの価格は抜き機での場合、データからの型作成、ミシンの本数で決まります。型代金はA全判ミシン1本あたり8,000円~20,000円(長さによる)、ミシン抜き代はA全判1枚、本数、ロットにより大きく変動します。小ロットでの最低金額は¥10,000-です。詳細については実際の見積もりでお願いしています。
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